■ヤマサキオサムのBlog - アニメーターの地位向上につながるか?!

アニメーターの地位向上につながるか?!

カテゴリ : 
アニメ監督ひねもす日記
執筆 : 
ヤマサキオサム 2011-2-3 19:42
先週の金曜日、文化庁の委託事業“メディア芸術・コンソーシアム構築事業”の一環として、アニメーションワークグループの第一回会議が六本木ヒルズで開催されました。

これは、日本最大手のデベロッパー企業であり、森美術館等、文化事業にも力を入れている森ビルが、運営事務局となっている文化庁の来年度の目玉事業です。
具体的には、漫画、アニメ、ゲーム、メディアアート等を“メディア芸術”と位置づけ、国として支援、発展させて行くという構想です。

第一回目の参加者は、NHKをはじめとするテレビ局プロデューサー、動画協会、プロダクションIGやボンズ等の制作会社の社長やプロデューサー、アニメーション美術家連盟やJAniCA等の制作代表者、声優や音響制作事業者等の団体関係者、アーカイブ事業を行なっている明治大学や東京芸大等の学校関係者、データ保存技術の開発を行なっている現像所の技術者、アニメーション研究者、そしてオブザーバーとして、経産省の担当者や出版社、マンガ、ゲーム、メディアアート分野のコーディネータなど総勢35人。

このアニメ部門のコーディネータが、JAniCAでも大変お世話になっている桶田弁護士です。
今回、私はJAniCA代表として「新人アニメーターの最低賃金の確保」と「製作委員会制によって債権化した映像著作権取り扱いの基本ルール作り」などを提案してまいりました。

セクションごとの各意見は非常に興味深く、人材育成、技術や知識の保存・開発に関しては、共通する問題意識を持っていることが判りました。
様々な意見交換がなされる中で、やはり個別の自助努力だけではなかなか解決できない事案だということは、私を含め参加者の多くが感じたようです。

国と文化庁、おそらく今後は経産省等も含め、行政関係者の方々がメディア芸術の育成発展に本腰を入れていただけるかもしれない、と強く感じる会議でした。

今年度は3月まで関係者ヒヤリングを行うため、テレビ局、パッケージメーカー、制作会社、音響制作会社、監督・アニメーターが分野ごとに集い、引き続き具体的な解決策を話し合って行く予定で、桶田弁護士とともに現在その人選をしているところです。


振り返ると今まで我々制作現場のスタッフは、社会に向け意見を述べる場さえありませんでした。
昨年夏のブログに関東経済産業局に掛け合った話を書きましたが、私個人でも6〜7年前からアニメーターの労働環境改善に動いていました。(その動機はまたの機会に)
しかし、残念ながらアニメーターの地位はとても低く、発言力にも乏しかったと実感しています。
後輩のためにと動いても、個人では何も形にできずにおりました。

ここまでたどりつくことが出来た背景には、JAniCA設立に尽力された芦田前代表をはじめ発起人や会員の皆様のお力添えと、また今年度JAniCAが文化庁から受託した『若手アニメーター育成事業』を関係者の皆さまが誠実に進められたこともあり、信頼のひとつになったと感謝しています。

また桶田弁護士がこれら事業の矢面に立ち、アニメ業界と社会を繋ぐために直接働きかけてくださっていることは改革への大きな力です。我々現場関係者が数十年間も形に出来なかった問題を、わずか3年程でここまでセッティングしていただいた事は奇跡的かもしれません。
JAniCA代表として深謝いたします。

今後は、与えられたこの機会を有意義な成果に結び付けられるように各方面と協力し、私たちも更なる努力を重ねていきたいと思っています。


業界の現状は皆さんもご存じの通り、たいへん厳しいものがあります。
しかし、動かなければ何も変わらない。放っておけば衰退していくのは目に見えています。

地道に、誠実に、一歩ずつ。
これが私たち現執行部のやり方です。

そして、これこそがJAniCAの設立理念「アニメーター・演出家の地位向上」、「アニメーション文化の発展に寄与」、「会員の生活向上と福利厚生の充実」に繋がっていくのではないでしょうか。

“メディア芸術・コンソーシアム構築事業”でも着実に意見を述べていきたいと思っています。

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