■ヤマサキオサムのBlog - 『今 敏監督からのメッセージ』

『今 敏監督からのメッセージ』

カテゴリ : 
アニメ監督ひねもす日記
執筆 : 
ヤマサキオサム 2011-2-25 13:40
『若手アニメーター育成プロジェクト』の完成披露試写会が24日、新宿バルト9で行われました。文化庁の方々をはじめ、お忙しい中たくさんの皆さまにお越しいただき、おかげさまで大盛況のお披露目となりました。関係者の皆さま、本当にありがとうございました。また、夕方のニュースに取り上げてくださったNHK、各新聞社はじめメディアの方々にもJAniCA代表として心からお礼申し上げます。


今回、大画面で4社の作品を拝見して、本当にアニメーションは素晴しいと思いました。人間が持つ想像力、優しさ、笑い、生きていく痛みなどが遺憾なく発揮されていました。
各社プロデューサーがそれぞれの取り組み方について話されましたが、会社ごとの異なる育成意図は大変興味深かったです。
4作品の個性はそこからスタートしていると思います。

トップアニメーターからの指導を受けた若者たちが、これからどのように羽ばたいていくのか楽しみです。

作品の中にとても印象的なシーンとセリフがあり、司会の藤田咲さんの声が震えていましたが、私も感動し鼻の奥がじーんとしていました。いやあ、アニメーションの可能性は人間と同じですね、まだまだ尽きるものではありません。


これら4作品は、いよいよ来週3月5日から新宿バルト9はじめ全国8か所で劇場公開されます。
大阪では毎日放送(竹田プロデューサーいつもお世話になっています!)のご厚意で、3月5日より4週連続でテレビ放映されることも決定いたしました。
バラエティに富んだ作画と企画内容は、一般の方々にももちろん楽しんでいただけると思います。若手アニメーターのパワーをぜひご覧ください。



さて、ここからは少しJAniCAの話を。
このプロジェクトは、我々「アニメーターと演出家の組織JAniCA」が文化庁から受託させていただいた、この分野では初めてとなる大型公的支援事業です。
初めてのことゆえ不慣れなことも多かったのですが、たくさんの方々のお力添えのおかげで、無事に完成披露試写会を迎えることができ万感の思いです。内部的には特にプロジェクトマネージャーの神村さん、桶田さん、本当にお疲れさまでした。

実はこの完成を、私たちは真っ先にご報告したい人がいました。

ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、ここに至るまでにJAniCAは、芦田代表の率いられた旧執行部時代に内部で少なくない軋轢がありました。ちょうどこの『若手アニメーター育成プロジェクト』が立ち上がった昨年春のことです。
その混乱の渦中に、プロジェクトの完成を心配された『PERFECT BLUE』『千年女優』の今監督(JAniCA発起人)が、当時の芦田執行部にあてメッセージを下さいました。監督が旅立たれる2カ月ほど前のことでした。

その後、芦田前代表らが混乱の責任を取って辞任され、私たち現執行部の人間はピンチヒッターのように組織を受け継ぎました。(もちろん、志はピンチヒッターでは無いと思っています。この体制で次期も継続しようと、来たる27日の理事選挙に向けて皆、正式に立候補いたしました。)

当時から今にいたるまで、反対勢力はありますが、誰もが「文化庁事業を成し遂げたい」「アニメーターの地位向上のためにいい組織にしたい」と黙々と働いてきました。口にこそ出していませんが皆の心のどこかに、今監督にきちんとご報告できるよう…という想いがあったと思います。

「議事録にあった今監督のメッセージを読みたい」という会員の声もいただいていましたので、完成報告と共にここにご紹介させていただきます。

ようやく言える言葉があります。

―――今監督、ありがとうございました。 合掌。



<平成22年6月2日(水)  13:01 今 敏wrote>

「事情はどうあれ、
アニメ制作現場のもめ事でお客に多大な迷惑をかけるべきではないのと同じように、
組織内部における意見の齟齬が外部である文化庁始め、
引いては税金の払い手である国民というお客さんに
迷惑をかけることだけは避けるべきだと私は思います。

様々な意見の対立やすれ違いがあるにせよ、
少なくともこの点において、
エンターテイメ ントを生業にしている方なら異議はないのではありませんか。」



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