■ヤマサキオサムのBlog - 本当に?アニメ関係者は貧乏なのか?

本当に?アニメ関係者は貧乏なのか?

カテゴリ : 
アニメ監督ひねもす日記
執筆 : 
ヤマサキオサム 2009-6-19 1:30
前回、アニメーターの新人の惨状を書いた。
では、アニメ関係者が皆等しく貧しいか。というと実はそれは当てはまらない。

キャリアや実績とは関係なく、儲かるセクションとジリ貧なセクションが共存している…と言うのが現実なのだ。


こういう場所で書くのは、本来「いかがなものか・・・?」と言う内容ではあるが、
アニメ業界の予算割に関しては、当然知っているべき制作担当者すら実情を
正確に理解していない現実がある。
その結果が業界の現状を悪化させているのでは、と私は考えている。

ここではあえて言おう。

■動画マンを救うのに必要な金は、制作費一千数百万円のTVシリーズ1話あたり、わずかに50万円■

200円の動画単価を300円に値上げすると、いくら足りないのか?
1話あたりの動画の平均的な使用枚数は、4000枚〜5000枚。
この数字からはじき出される、値上がり分の動画経費は1話あたり、わずか50万円。

この金額は本当に捻出できないのか?


まずは、音響監督費。

TVシリーズの音響監督は平均15万〜18万円
同じ作品の監督料は20万〜25万円
作画監督は30万円前後。

一見、この数字は妥当なように見えるが、実際はまったく実状にあっていないだろう。
前回書いたが、作画監督は上記の金額で1ヶ月半からそれ以上拘束され、月額20万円そこそこ。

監督に関しては、25〜26話(約半年間)のシリーズに関わると放映の半年前から準備に入るため、年間の平均収入に換算すると月額50万円前後である。

これに対し、音響監督は1話あたりに拘束される時間は、仕込みを入れて2日。
従って、音響監督は同時に2〜3タイトル掛け持っているケースが多い。
結果、1週間に3本。

1ヶ月に12本以上をこなす事も可能だ。
月産15万円×12本=180万円
年収2000万円以上稼いでいる音響監督がざらに居る。

シナリオライターに関しても、1本18万円前後で2〜3本掛け持っているのであるが、さすがに2日で決定稿が上がる事は稀なので、1〜2本を1ヶ月平均で上げると考えると、原稿料としては月30万円前後だろう。
これが安いと思うか高いと思うかは、仕事の内容次第だが、ヒット作品に恵まれるとライターには脚本印税として不労所得が数百万円単位で支払われる。

毎月3タイトル以上の作品に関わっているのであるなら、
ヒット作品にめぐり合う確率もそれなりに増える。
結果、仕事が出来るライターは楽に年収1000万円以上は稼ぎ出す。


この他にも、撮影はTVシリーズ1話に対して、80万〜100万円。
撮影は4〜5人くらいのチームで3日〜4日でTVシリーズ1本分の撮影をこなす。
この他に、線撮りと言う動画撮影や原画撮影、絵コンテ撮影などの撮影作業が発生し、その作業も含めた予算が金額の中に含まれている。
結果的に、4〜5人で月産400万円以上売り上げる。

上記に上げたそれぞれのセクションの売り上げが、他の産業の平均に対して高いか安いかと考えれば
「年収2000万円くらい普通でしょう」と言えなくもない。

なんにしても、アニメに関わっている全ての関係者が、等しく貧しいわけではないのは事実だ。

もちろん、頭が下がるほど立派な仕事をされる音響監督やシナリオライターも多数おいでになる。
だから一概にギャラの多少ではなく、バランスに問題があると思うのだ。

* * *

そこで各セクションに支払う金額に目を向けてみる。

音響監督費は高すぎないか?
シナリオライターは印税を主張するのなら、最低原稿料の設定は本当に必要なのか?
撮影のムダは制作管理の怠慢が原因で産み出されていないか?

更に言えば、動画より労力の大きい作画監督の労働対価はそのままでいいのだろうか。

作画監督は未熟なレイアウトや原画を全部描き直す。
作品の出来が悪いと、名前が出ている分ファンや業界から叩かれる。

労働報酬はと言えば、原画マンには未熟でも1カット4000円。
作画監督にはカット割すると1カット1000円にも満たないギャラしか払われていない。
1枚単価に直すと安いと言われている動画単価より安いのだ。

作業内容と労働報酬があまりに遊離している。
お金ではなく文字通り作品に対する愛情で、体力・気力を注ぎ込んでいる作画監督の待遇は本当にこのままで良いのだろうか。

作品のメインスタッフは、新人に憧れられる人間であるべきだ。
「努力して頑張れば先輩たちのように成れる」
その思いが優秀な次世代を育てる。

“働いた人間が、働いた分だけ正当に報酬を受け取る”
そんな当たり前の仕組みが成立していない事が、残念でならない。

この問題は後続のためにも、業界のためにも
作品を代表している監督が声を大にして訴えるべき事だと、私は思っている。

アニメ業界は決して貧しくなどない。
アニメーターが貧しいだけなのだ。

その現実を業界関係者は正しく理解し
バランスを整え、改善を行なう勇気を持って欲しい。

作画監督の所で作業が滞るのは、
まともな仕事が出来る原画マンの数が、急速に減って来ているためである。

その原因を作り出しているのは、
立場的にギャラ交渉が出来ない新人アニメーターへの
制作管理者の“配慮不足”が現状を生み出している。

それは間違いのない事実だと思う。

トラックバック

トラックバックpingアドレス http://www.janica.jp/club/modules/director/tb.php/3
参照元
Japan’s Animators earns Breadcrumbs!2009-9-12 6:07
n anime project earns in Japan, We have some light to shed for you and the numbers are not pretty.Anime Director......more
BloggersBase Anime & Manga