■ヤマサキオサムのBlog - 最新エントリー

2010年の最後に

カテゴリ : 
アニメ監督ひねもす日記
執筆 : 
ヤマサキオサム 2010-12-31 23:50
今年はアニメ業界にとって激動の年だったように思う。
そして、来たる2011年はアナログ放送の終了と共に、我々を取り巻く環境も新たな時代に移行する。

激しく変化する時代には、眠っていた若い才能が目を覚まし、
多くのチャンスと共に頭角を現してくる。

我々の世代は、ホームビデオが出てきた時代(VHS・β戦争の頃)に
OVA作品の監督やデザイナーとしてデビューした。

アトム世代といわれる50代後半〜60代の先輩たちは、
TV黎明期に多くのテレビアニメ作品に携わり一時代を築いた。

その上の世代は映画作品に関わる事で、若い才能を開花させたのだ。

若さの一番の武器は、激しい変化に対応できる柔軟性と発想力。

今、専門学校の教え子たちのほとんどはアニメをTVではなくPCで見ている。
これから開拓すべきは、どう考えてもこの分野だ。

我々アニメ制作者も今までとは違う作品の作り方を模索し、提案していく柔軟性が必要になる。
そんなエキサイティングで面白い時代がやってくる。

うつむかず、立ち上がり、道を切り拓こう。
JAniCA世代と言える若くて才能のあるアニメーターが数多く出てくる事を期待している。
世はクリスマス一色。
会社のあるこの街も、キラキラしてとてもにぎわっている。

アニメ関係者と言えば現在、年末進行の真っ只中。
私もご多分にもれず追い込みで、今夜はたぶん会社泊りだろう。
忘年会も重なって、業界もにぎわっている。

先日は中野サンプラザで開催された、スタジオディーンの忘年会に招かれた。
ざっと見渡しても、『ジャイアントキリング』、『ヘタリア』、『ぬらりひょんの孫』、『ドラゴンクライシス』、『クッキンアイドル・アイ!マイ!まいん』のスタッフはじめ、私が監督を担当している『薄桜鬼』チームなどなど、優に200名を超えるアニメ関係者が集まった。

まずは、創立35周年になるスタジオディーン長谷川洋社長のご挨拶から。

来年の具体的な展望に続いて、清瀬けやきホール『元町こども図書館』に寄付をされ、
亡き奥様のお名前を冠した『長谷川みち子文庫』が設立されたことも語られ、大変感動した。
事業展開の仕方、人を育てる力、思いやり…人として学ぶところが多い。

そして、長谷川社長が来年からの新展開のため業務提携を結ばれた、中国企業担当者のご挨拶。
印象的な話をかみしめていると、浦崎プロデューサーより頼まれていた“乾杯の音頭”のご指名が下る。
…いいのか本当に小生で(笑)

僭越ながら、社の発展と皆の健康を願い、
乾杯の音頭をとらせていただいた。

二次会は居酒屋で監督・演出陣と飲み明かし、
三次会はシナリオライター陣とカラオケで歌い、始発を待った。
気心知れた仲間たちと汲みかわすお酒は、やはりいいモノだ。

好きという思いだけで飛び込んだアニメ業界だが、今年で自分も30年。

多くの方々と出会えたことに感謝し、より良い作品作りと、
アニメーター・演出家の地位向上に力を注げたらいい。

おっと、忘れてた。

我が子にもクリスマス、何かしてやらんとな。

『Nobody Is Right』

カテゴリ : 
アニメ監督ひねもす日記
執筆 : 
ヤマサキオサム 2010-12-22 23:56
今年、2010年秋から始まった、中島みゆきさんのコンサートツアー
『中島みゆきTOUR2010』『Nobody Is Right』という曲が歌われた。

JAniCAの内部混乱の渦中にいる私は、この歌詞に胸がつまった。

『狼になりたい』と題して、ここのブログで、さまざまな思いを書かれていた芦田さんなら、
同じ中島みゆきさんのこの歌は、きっと知っておられるだろう。

『Nobody Is Right』直訳すると「誰も正しくない」だが、
英語の意味は「誰もが正しい」となる。

* * *

オープロのHP上で、芦田さんのインタビューと称した記事がアップされた。
芦田さんが代表時代に語られていた事が書かれている。
本当に芦田さんが語られた事なのか?と思える内容もある。

ただ、なんにしても、あの記事はあまりに一方的すぎる。
あのような事はやるべきではない。

もし行うのなら、K理事と書かれた人の言い分も
公平に載せるべきだ。

さらに言えば。
ひとつ前の記事にも綴ったが、掲載の許諾は得ているのだろうか。

アニドウの新聞ネタにして、
JAniCA会員以外の不特定多数に配布することを
芦田さんやS社と書かれた関連会社の関係者に、許可を得ているのだろうか。


芦田さんは懸命にアニメ業界の事を考え、JAniCAを立ち上げられた。
我々はその思いに賛同したからこそ、仕事以外の雑務と知りながら無償で協力してきた。

K理事にしても皆のためになると信じ、文化庁事業を受託できるまでに懸命に働かれたのだ。

私から見れば「誰も悪くない。誰もが正しい」

1年間もこの事業に従事する人の報酬が、600万円と計上されていた事が、
そんなに責められることなのか?

作画監督で仕事していれば、それくらいの・・・いや、それ以上の報酬を受け取る実力者である。
それを置いて、後続のためにと受託事業に専念する事を考えれば、
妥当な金額だと私は思う。

O監査理事と書かれてあった、彼に関しても同様だ。
国家資格を有する人に支払う顧問料として
こちらも社会常識からみて大きくぶれていないと思う。


実際には、事業の進行と共に支出予算が膨らみ、
各社に支払う金額以外に制作補填分のお金も出ている。

したがって、実行予算は当初の予定と変わってきている。

最終的な支出入に関しては、
3月の事業完了を待って、文化庁の審査を経ることで判断するのが妥当だろう。
その最終判断は、委託者である文化庁が決めることである。

退会をもって、この混乱の責任を取った方もいる。
明け方まで本人交えて、話し合いもした。
すべては、すでに半年前のこと。

何度か書いているが、
本当に芦田さんが大変だった当時、何もしなかったなみき氏が
ことが鎮まった今ごろいったい何なのだ。

いずれにしてもなみき氏の行為は、正義を語り、争いを煽動する偽善に思えてならない。

JAniCA執行部としては、
この行為に対して適切に対処して行こうと考えている。
オープロのなみき代表が、私あてのメール文面をそのまま自社Blogで公開されている報告を受けました。

すでに、個人的にメールで返信申し上げている事案です。
状況のよく判らない方々に、不誠実な対応をしていると思われるのも残念なことですので
仕方がないので私もお付き合いして、Blogにてお返事いたします。

***********************************************

オ―プロダクション代表取締役
なみきたかし 様

ご請求をいただいておりました『全会員の名簿開示』の件、
18日の理事会にて検討の上、内容証明郵便でご報告いたしました。
どうぞご確認ください。

また、複数のJAniCA会員より
「なみき氏より個人的にメールが届き、大変迷惑を被っている」
「個人情報がどこから流出しているのか」と問い合わせが相次いでおります。

その件、および「アニドウのアニメーションミュージアム寄付金」等につきまして、弁護士立会いの上、
12月20日付けで内容証明を送らせていただきました。
会員様へのご報告がありますので、ご多忙とは存じますが
ご査証の上、早急なお返事をお待ちしています。

わたくしどもJAniCA執行部は、応援団員含めると1000名超の会員さまのために動いております。
個人情報流出は時節柄、不快感や恐怖を覚える方々もおられます。

会員に不利益を犯すことは、どのような方であっても、
理事会として厳罰な対処をせざるを得ないことをお含みおきください。

本来ならば、このようないち監督個人のブログで発言することではないかと思いますが
直接、名指しでいただいたお問合わせですので、以下個人的にお応え申し上げます。

: : : : : : : : : :

>"臨時総会を30日以内に招集し、代表理事を含む理事会を改選し、
>監事を含む理事は辞任し、新体制でこれまでの事態の検証を行って下さい"

●年末年始を挟み、数百名の会員を収容できる会場予約は、2月から受け付け開始。
よって、“30日以内”という日程は物理的に不可能でした。
調整に調整を重ねた上、2011年6月の総会を繰り上げ、
2011年2月27日に決定いたしました。
●2月27日の臨時総会にて、すべて改選されます。
●これまでの事態の検証は、理事会メール、理事会議事録および速記録、
さらに当該関係者の証言と照らし合わせた上で、文書にまとめ、
臨時総会にて全出席者に配布いたします。
遠方などでご出席になれないご希望者には、送付も検討中です。

>あなた方は「芦田氏は文化庁に白紙撤回を申し入れた」ということを
>解任の論拠にして、砂上の楼閣を築いています。
>そういう事実がないと証明されたら、あなた方はどう抗弁するのですか?

●では、そのような事実があった場合はどうなさいますか?
誤解なきよう申し上げますが、
6月の理事会決定は、わたしども現執行部が下した判断ではございません。

芦田元代表、宇田川元理事、神村元理事、高林理事、ふくだ理事、吉田理事、桶田監事の
旧執行部全員の合議の上で、事実関係を洗い出し、
今後のJAniCAとアニメ業界の事を考えた上で決められたことです。

当時、なにもせずに白紙委任状を丸投げされたなみき様に、
半年も経った今頃になって、表層的な正義を語られる事は、いかがなものかと存じます。

なみき様が行われていることは、
平たく言えば“過去の事象の掘り起こし”です。

2010年6月の段階で、
自ら辞任をご決断された3名の尊厳にかかわることではないでしょうか。
3名様の承諾は得られておりますか?

すでに退会された方もおりますし、
個人のプライバシーにも係わることですので、
各人の許諾を得てから行動された方がよろしいかと存じます。

なお、一方的な意見に偏らないよう、
わたくしどもは双方より事情を伺っております。
なみき様にも、同様に双方の事実確認をお勧めいたします。


さて。
現理事会執行部の人間は、当時、事態の収拾に尽力された方々と同じ立場で
なんとか元に戻ってほしいと願い、双方の言い分を伺い東奔西走していた者たちです。

力及ばずこのような結果となり、わたくしは麦秀の嘆の思いでした。

個人的に芦田元代表理事は、わたくしのアニメーター人生における師でありますから
JAniCA代表の辞任など考えられないことでした。

当然ながら後日、『名誉会長職』の提案もいたしました。

その氏が、“ある理由から”すべての辞退をご決断されたわけです。
HP上の氏に関する物の閉鎖・削除、事務所の移転願いも受けました。

尊敬する恩師の思いを、汲まない人間がいるでしょうか?
断腸の思いです。

混沌とした中での理事選でしたが、ご推薦をいただき代表となった現在、
貧困アニメーター上がりのわたくしは、皆の気持ちがわかるだけに
公平中立の立場で、ベテラン勢・若手アニメーターすべての地位向上を目指し
新執行部とともにJAniCAを運営しております。

2007年、芦田元代表理事がJAniCAを設立されて3年。
いろいろありましたが、ようやく体制も整い、
芦田氏の志を受け継いだ人たちが、新年に向けて動き出しています。

もしかしたら、念願だったアニメーター・演出家に対する規範が
少しずつでも変えられるかもしれません。
わたくしとしてはこの動き、流れをより大きくしていくのが
ひとつの使命と思い、現在も無報酬で動いております。

アニメーター・演出家の地位向上のため、未来に置いては、
なみき様はじめ、多くの諸先輩のお力もお借りしたいと思っておりました。

アニメーション業界の発展と向上を願う―――その点では、皆同じなのかも知れません。

以上、
年末進行の絵コンテアップに追われているヤマサキ個人の
雑感を含むものですので、
JAniCA代表としての弁は、公の場でお話します。

どうぞ臨時総会にご出席ください。
本日は、JAniCAの理事会があった。

『若手アニメーター育成プロジェクト』の進捗報告をはじめ、
来年に向けた新規計画など、15項目を検討した。

「アニメーターや演出家のために、今なにをすれば一番よい形になっていくか」をベースに、
各自意見を出し合った。

キャリアを重ねても何の保証もないアニメ業界に、
3年前小さな一石を投じたJAniCA。

芦田前代表が設立に尽力してくださった頃から
自分は、発起人/運営委員として傍にいたが、確かにいろいろある中で
それでも着実に一歩ずつ、いい方向に進んでいると思う。

でも、良いことって、悪いことより目立たないんだよなあ・・・

そんな自分の思いを知ってか、知らずか。
この秋、JAniCA会員の中からある動きがあった。

「新聞を作っていいですか?」という。

彼らは若手のJAniCA会員で、6月の代表辞任から始まる
一連の騒動について、当時、率直な疑問をぶつけてきた人たちだ。

「JAniCAはどんな活動をしてるんですか?」とも聞いてくる。

彼らの疑問点にすべて応えると、とてもすっきりした表情で

「なんだ、そんなことなんですか。
う〜ん、もったいないな〜。
なぜ今、良くないウワサが一人歩きしているんでしょう?
それは、執行部が有益な情報を業界全体に発信してないからじゃないですかね?」

なるほど。そうなのか・・・。
私は九州人のせいか、皆のために動いていることを、
ことさら声高に言うことは、はばかれてなあ。

でも、「言わないとわかりませんよ」と。

かくして、2か月ほどかけて、彼らがボランティアで作成してくれた
『JAniCA新聞』第1号の仮刷りが、本日の理事会の場でお披露目された。
全4ページの充実した紙面。たいしたものだ。

この3年間の『JAniCAの歩み』、監事である『桶田弁護士のインタビュー』、
『若手アニメーター育成プロジェクト』の全容、私の寄稿メッセージもある。

「新執行部は何を目指していくのか」
「どんな組織作りをしているのか」


会員の皆さんの、新たな指針作りのお役に立てたら本望だ。
また今回、JAniCAの若手が自主的に“執行サポーター”として
動いてくれたことが本当にうれしかった。

“執行サポーター”がどんどん増えてくれると、組織としても
会員とより密に、地に足をつけた活動ができるだろう。

今年の最大事業『若手アニメーター育成プロジェクト』も、
全国でロードショウ公開が決定した。

来年にむけて、今まで地道に行ってきたことが形になりはじめている。
個人で言い続けてきた『動画単価の引き上げ』も
機会があるごとに引き続き主張し、いずれ王手に持ち込みたい。

何事も近道などない、一歩ずつ誠実に積み重ねるだけだ。

さて、時期的に、新聞は会員のみなさんへのクリスマスプレゼントになる。
喜んでもらえるといいね。
Hくん、Iくん、Bくん。
ありがとう。
昨日、オープロのなみき氏のBlog上で、臨時総会開催案内に同封した書面が公表されているとの連絡があり、先ほど確認しました。

Blog上の書面には、なみき氏の疑問が追記されていました。
内容として、11月に私が直接オープロにお伺いし、会談したこととほぼ同じことでした。

その際は、2時間に渡って私見をお話いたしました。
ただ、あくまでそれはヤマサキ個人の意見であってJAniCA理事会の総意ではないので、翌々日(11月20日)のJAniCA理事会に「さらに疑問があればそこにお越しください」ともお伝えいたしました。

なみき氏は「川本喜八郎さんを偲ぶ会」へのご出席を途中退席されて駆けつけられましたが、理事会はほぼ終了間際でしたので、私と井上理事が会場に残り、その後2時間、前々日と同様の質問に対し、
再び井上理事からこれまでの経過説明を行ないました。

従いまして、なみき氏からのご質問には、この時点ですべてお応えしております。

また、理事会の決定事項としては「この問題を一制作会社であるオープロのホームページ上で、JAniCAの正式コメントとして公開するのは、相応しくない」と判断し、
「書面ではなく、全会員に向けた総会での対応にしたい」との旨もお伝えいたしました。

また、なみき氏の早期臨時総会要求に対しては、数百人収容できる会場の予約手配、理事の立候補の手配などを考慮し、現実的に開催が可能な日時として、2月末に繰り上げ臨時総会も決定いたしました。

この決定に至るに際し、私はなみき氏の現在の行動が、本当に芦田前代表の意思を反映して行なわれているのか、に疑問を感じました。

そこで、6月の段階で芦田代表と行動を共にされ、JAniCA内部の結束を願って奔走されていた奥田誠治さん、スタジオライブの神志那くんと直接会い、芦田さんの現状やお二人が知る限りでの芦田さんの意思を確認いたしました。

その結果、辞任から半年が過ぎ文化庁事業もほぼ完成の目処が立っていることを考えれば、情報の詳細を公開することも良いのではないかとの結論に達した次第です。

しかしながら、現在に至るなみき氏のJAniCA執行部への行動は、とても芦田前代表の意思で行なわれているとは思えません。

スタジオライブの運営を任されている神志那くんでさえ「なかなか芦田さんとの連絡が取りづらい」「JAniCAに関してはほとんど話を聞いていない」という事でした。
ただ、全ての情報を公開するのであれば、なんにしても芦田さんと文化庁との経緯、行動に到った真意を、芦田さんの名誉のためにもきちんと伝えて欲しい、と要望を受けました。

もちろん、当時、芦田代表と行動されていた奥田さんにもお話を伺い、総会では全ての経過報告と今後のJAniCAの運営方針を、会員の総意として正々堂々決めて行きたいと思っております。



さて、その上で今なみき氏の行なっている行動をどのように理解すればよいのか?
すでに説明を終えた事案を、なぜ幾度も繰り返されるのか?
正直に申し上げ、私には理解出来ないのが現状です。

私どもとしては誠実に対応しているつもりなのですが、
なみき氏にはそう受け取られていないように感じます。



さて、これから先は、あくまでヤマサキ個人の感想ですが、ご本人自ら「業界ゴロだ!」とおっしゃっているように「俺を敵に回したらうるさいよ」と言う事なのか、とも思います。
「何がお望みですか?」とお尋ねしても、表向きの疑念を繰り返し主張されるだけですし、「その裏に隠されている真意はお前たちで考えろ」と言わんばかりです。

この手法は客商売の店に上がりこんで、騒ぎを起こし袖の下を要求するチンピラやゴロツキの常套手段を連想させます。
「俺をおとなしくさせたいなら、それなりのやり方があるだろう?」という事で、お店は困って「不快な思いをさせてしまい申し訳ありません」とお金などを包んでその場を収めるのですが、今なみき氏がやられていることは私にはほとんどこれと変わらない因縁を着けられているように感じます。

しかし、私としてはどんなにゴネられても痛くも痒くもありません。
「どうぞご勝手にしてください」というレベルです。

少なくとも、なみき氏の表向きの要求にはお応えしました。
応えられない部分に関しても、その理由はお伝えして有ります。

その上で「金銭的な不正を暴く!」等と息巻いておられますが、いったい何の不正をどう暴くのか?
その具体的な方法も無く、声高に自己の正義を語られてもむなしいだけです。

文化庁事業の収支に関しては、本来ならば、3月に事業の全ての書類を完成させ、その支出の詳細を文化庁>会計検査院に提出した段階で、総会でも皆様にお伝えする事項だったのですが、
2月に繰り上げる事で、会計検査院の審査をまだ受けられない議案となり、事業の内訳に関しては総会後に改めて、皆さまにお伝えする事になると思います。

また、参考までにお伝えしておきますが、
本年、他団体で受託した同様の行政事業に関して、金銭の不正流用が発覚し、
『事業費の返還命令と今後数年にわたる同団体への行政支援の停止』 が発表されています。

『このような事が無いように』との通達を文化庁からもいただいておりますので、事業の執行者が私的に金銭を流用する事のないよう、私としても支払いに関しては随時チェックしてまいります。

いずれにせよ、さまざまに疑問をお持ちで現執行部に不満を感じていらっしゃる皆様は、是非総会にお越しいただき、ご質問ください。

また、なみき氏にJAniCAを任せたいとお考えの方々が多数おいでであれば、それはそれでまったくかまいません。

職務を任されている以上は私なりに精一杯、JAniCAの事を行なってまいりますが、ヤマサキは要らないとおっしゃっていただけるのであれば、誠実に運営される後続が現れる事を期待して、いつでも代表職も理事職もお譲りいたします。

今、騒ぐだけ騒いで先々のビジョンも持たないまま、JAniCAの運営が先細って行かないことを切に願います。それをも含めて総会で、それぞれのご意見を賜れれば幸いです。

期待しております。
今日は、日本映画監督協会の広報委員会に出席してきた。

広報委員長の井坂聡監督はじめ、渋谷昶子監督、舞原賢三監督、石川均監督、檀雄二監督、望月六郎監督、高原秀和監督,田崎竜太監督など、実写畑の熱い方々と来年に向けての方針を話し合った。

「8日の忘年会打ち合わせ」と「石川、望月、両監督の裁判支援!」「来年の広報テーマは著作権イヤーにする!」など、変わらず明るく前向きな面々。
その後は、いつもの中華料理屋で、情報交換と称して楽しい懇談会。

熱い思いが未来を切り拓くのだなあ、と実感する。

JAniCAの運営にもこの情熱が活かせるといい。
「なに言ってんの?意味不明」と言われそうだが、これは私が初めて監督を務めた『戦国奇譚・妖刀伝』の制作中に、メーカーのプロデューサーが教えてくれた言葉だ。
当時、私は25歳くらい。その方もまだ30代前半だったのだと思う。

要約すると、“個人の消費と企業の投資は本質的にお金に対する考え方が違う”という話。
しかし、アニメーターの多くはその事を解かっていない気がする。

プロデューサーいわく
企業の各事業部には毎年、年間予算という形で使う予算が割り当てられる。
例えば、予算5億円だとする。プロデュースを任された人間はそれを、様々な事業にどう投資するかを検討する。

この年間予算。
使わないとどうなるかといえば、その部署を維持するための社員の人件費や家賃、光熱費、通信費等の固定経費として、そのままでは確実に無くなって行く。

だが、予算を使い作品(商品)を作る事で、それを販売すると利益が回収できる。
その回収金額が、当初の予算と同額の5億円で利益が出なかったとしても、
1年掛けて5億を使い5億円が回収できれば、翌年にはまたそのお金を使って同規模の事業をおこなう事が出来るのだ―――

「企業がお金を使うというのはそういう事なんだよ」という話をされたわけだ。

もちろん、投資金額に回収利益が届かない事もある。
それが赤字というものだが、他作品でヒット作が出ればその赤字分を相殺し、部署として黒字になる可能性もある。

何もしなければ確実に減っていく予算に対し、“投資する”(お金を使う)事で仕事になり、報酬を受け取る事が出来る。

「そんな可能性が生まれて来るんだよ。だから頑張っていい作品を作ってね」と言うことなのである。

さて、現在。
アニメーターの劣悪な環境が問われるが、この事をしっかり認識して各人が仕事をしていたら、現状は変わっていたのではないか、と思うことがある。

駆け出しの頃、そのプロデューサーと出会えたおかげで、
私は、作品制作が自分に任された“投資の一つの形”と、認識する事が出来た。
それを教えていただいた事を非常に感謝している。

企画の出し方や通し方、企業との交渉の仕方にしても、まずは相手と同じ価値観で話をしなくては、交渉は成立しない。

我々に支払われている賃金は、たしかに作業に対する労働対価では有るが、同時に投資資金の一部運用を任されている事と同意なのだ。

ヒット作品に関わり、それなりの実績を残せれば評価も上がるが、売れない作品を作ってしまうと信用を失う。

アニメーターの中には「賃金が安すぎる!」と声高に叫ぶ人が居るが、
出資企業から見れば「あなたの作品は売れなくて、我々は多大な赤字なんです」ということになる。

「売れた時くらい利益還元を」と言う意見もあるが、
それを主張するのなら、我々はまず自分達の“権利と義務”をしっかり認識して交渉に臨むべきなのだ。
そのための力にJAniCAがなれたらいいと思う。

さて。
文化庁の事業に関して、未だに「JAniCAの不透明性を・・・」、「JAniCAはボランティア組織じゃなかったのか?」などと抗議のメールが届く。
もはや説明する気力も失せてしまいそうなのだが、
いったい、いつの間にJAniCAがボランティア組織になっているのか。

現在、数あるNPO法人でさえ実務者には実費が支払われる。
一般社団法人に移行したJAniCAの運営を、ボランティアと思われるのは残念でならない。

確かに現状は会費収入も少なく、理事や運営委員の労務に対して対価をお支払い出来ないことも事実である。
従って、結果的に旧体制のボランティアのまま、さまざまな業務を行なってもらっている。
だが、その事は言い方を変えれば、嫌になったらいつだってこの組織を投げ出せるという事なのだ。

労働対価を受け取っていない代わりに、責任も義務もない。
本来、権利と義務は対であるべき物なのに、日本のアニメ業界ではそれがうやむやに成っている。
思い当たる事がないですか?

アニメーターに仕事を出すと、請け負ったまま突然連絡が取れなくなったり、納品期日が来ても納品物が出来ていなかったり…。

その事を制作に攻められるのが嫌なのか、そのタイプのアニメーターはまっとうな金銭交渉をしない。
義務や責任を負わなくて済むように、権利も主張しない。

逆に、やる気と責任感のあるスタッフが、
対価以上に働き、クオリティの高い内容を提供しているにもかわらず、
金銭交渉の習慣がないために、極貧に喘いでいたり。

そんな業界の構造が、何十年もかけて
アニメーターの待遇をグダグタなものにしてきた要因のひとつではないか、と私は考える。

全ては、権利と義務を明確化していないために起こっている問題なのだ。

我々JAniCAは、そんな感覚のまま、行政の事業を進めるわけにはいかない。
関わるすべてのスタッフには、仕事として責任を持ってこの事業には携ってもらいたい。
そのためには、それに見合った対価をお支払いする。
“働いた者が 正当な報酬を受け取る”
そんな当たり前の基準すらない業界に、JAniCAが前例を作っていけるといい。


総会でも話があったが、今回の事業に関わる方の人件費は時給1万円と換算される。
これを高いと思うか、安いと思うかは人によるが、私は決して高いとは思っていない。

日本のアニメ業界のトップクラスで仕事をしている方々や
国家資格を持った人に支払う時給なのだ。

これくらいは稼いでもらわないと下の人間が困る。
我々は自分達の価値を自らおとしめ、ダンピングする気は更々ない。

そもそも、よほどの大富豪か資産家でもない限り、ボランティアで組織運営していることほど危ういものはないと、私は思っている。

ある日突然、全てを投げ出されても責任の追及さえ出来ない、そんなボランティア的意識で仕事をしてもらっては困るのだ。

もちろんボランティアの精神自体は尊いものだと思う。

しかし、そこに全て頼ってなんとかなるはずがない。
ましてや「アニメーターは貧乏なんだ!賃上げをしろ!」と
弱さを武器に戦うことほど惨めなものもない。

出資者も、制作者も、ユーザーも皆が幸せになるために作品は作るものだ。

そのためのチャンスと権利と義務は本来、制作者である我々に託されている。
それを認識しない事が、貧しいアニメ関係者の大きな問題点だと、私は考えている。

・文化庁事業に対する意識のズレ。
・作品制作に関わる賃金体系の歪さ。

我々を取り巻くこれらの問題は
権利と義務をあいまいにし続けた結果が招いているアニメ業界の悲しい現実なのだと、
もう気づいても良いのではないだろうか?

JAniCAは動いていく。
アニメーターや演出家の地位向上を目指して。

皆の意識が変われば、大きなウエーブになると信じている。
さて、ピンチヒッターのように代表に就任して2ヶ月が過ぎようとしていますが、つくづくJAniCAの理事職は割に合わないと痛感しております。
前代表の芦田さんから、「よく引き受けたね。大変だよ」と言われましたが、まったくその通りです。
文化庁からの2億円の事業委託を受けていても、理事たちは相変らず旧方針のボランティア運営である事に変わりはありません。
責任と義務だけが重くのしかかり、情報開示の不手際に対しても散々な言われようの中、皆黙々と動いてくれています。

TVシリーズの監督業と平行して、この立場を3年間も続けてこられた前代表には頭が下がる思いです。

とは言え、誰かがやらなければアニメーターやアニメ演出家を取り巻く環境は改善しないのも事実。
その事を考えれば、芦田さんが旗を振られ、その意志に賛同した者としては
『なんとかこの組織をちゃんとした形にして行きたい』そう思うのです。

地道に一歩ずつ、国をはじめとした各業界に信用を積み重ねていくこと。
それが目的達成のための唯一の道だと感じています。

かつてJAniCAが設立される前、今から5〜6年前に私は新人アニメーターの困窮する現状を見かねて、関東経済産業局に現状改善の相談に行った事があります。

一枚200円の動画単価を続けてはアニメーターの新人は育たず、日本のアニメ界は遠くない将来、国際競争力どころか制作力自体を失ってしまう。
「行政指導による最低賃金を保証する方法は無いものか?」と訴えたのでした。

しかし、担当の方から返ってきた答えは、
「なぜ、そんなに低い労働単価なのに皆さん仕事を請けるのですか?」と言う、扱くシンプルな疑問でした。

「一枚1〜5円の袋貼りやネジの仕分け梱包作業の単価が適正か?適正でないか?それはその金額で請け負う人が居るか居ないかで我々は判断します。その金額で受ける人が居るのであれば、それは適正価格なのではないですか?」
と聞かれたのです。

「アニメの場合は袋貼りの内職とは中身が違って…」と仕事の質や業界においての新人アニメーターの意味を懸命に説明したのですが
「では、なぜ会社や業界が自ら新人を育てないのか?」と続いたのです。

確かに、この業界に関係の無い立場から見たら、まったく理解出来ない事が平然とまかり通っているのがアニメ業界の現状です。

そんな折、芦田さんを中心にアニメーターの労働環境最善を掲げて
JAniCAが発足しました。

この三年間、JAniCAは
文芸美術国民健康保険や東京芸能人国民健康保険などの
健康保険への加入促進。
業界人でさえ正確には把握していなかった、アニメーターの賃金体系を調べた
昨年の『アニメーターの労働実態調査』。
そして、今年文化庁から『若手アニメーターの人材育成事業』の運営管理委託を受け、その成果を残すべく日々業務を進めております。

「こんな内容で、新人が育つもんか・・・」等と批判する声も聞きますが、
では声高に叫んでいるあなたは何をしているのか?
懸命に動いている人間を、自分が批判できるほどなのかを問うてみるべきだと思います。

実は私自身「このプロジェクトで優秀な新人が育つのか?」と
内心疑問に思うことがあるのも事実です。

以前このBlogにも書いていますが、アニメーターの若手に必要なのは、
仕事をして最低限生活できる賃金が支払われる事こそが、次世代を育てる土壌を作ると考えています。

少々乱暴な言い方になりますが、技術というものは食えて、続けていけて、周りに優秀な先輩達が居る環境さえあれば、ある程度ついて来るのです。逆にいえば食えなければ、続けたくても続けられないのです。

新人アニメーターの動画単価の見直し。

この改革を行なうためには、個人事業主という弱い立場から訴えるより、
国家プロジェクトとしてトップダウンで行政指導を業界全体に行なってもらい
国内のアニメーターに動画を発注する場合は、最低単価を300円以上にすると言う『業界ルール』を決めてもらうことが必要だと思っています。

そのためには“行政との信頼”をいかに築くかが重要ではないでしょうか。

そんな事をしたら動画の全ては海外に流れるという人も居ますが、そうなったら10年後の日本のアニメ産業は無いと思うしかありません。

現在、若手の優秀なアニメーターの数が目に見えて減ってきている最大の理由は、新人への劣悪な賃金設定が原因で、その事が若い原画マンの質を下げ、作画監督の負担を増し、スケジュールを圧迫し、制作利益率を減らしているのです。

どのみち現状を放置すれば、10年後には日本でアニメなど作れなくなります。
その事が解かっていない業界なら、それまでの業界と言うことです。

さて、そんな話の最後に。
文化庁事業の管理費としてJAniCAにまかされた6000万円の事務管理予算に関して、実際には業界のためにも後輩のためにも、何も動いていないクレーマーの方たちが、さまざまなネガティブキャンペーンを張っているようなので、私から答えられる範囲で話をしたいと思います。

6000万円という額について、会社経営をした事がある人間なら解かるはずですが、アニメの孫受け会社の年間固定費にも満たない金額です。

人件費や地代家賃、光熱費、通信費、設備費、運送費、会議費・・・等々をまともに換算すれば、これだけの事業を管理運営するのに掛かる費用としては、足りないくらいです。
それが使途不明と騒ぐこと自体が私には理解に苦しむ内容です。

選考委員会や育成委員会、ヒヤリングチームなどに協力してもらうJAniCA内外のアニメ関係の皆さんにも時間と労力に応じて、金銭的に労働対価をお支払いしていきます。

「それの詳細な内容を開示しろ!」と騒いでいる方。
ご自分では社会正義のために叫んでいるつもりでしょうが、
いったい後輩や業界のために何をしているのか?

率直にお聞きしたいものです。

現在、本事業に関する費用はまだJAniCAにはまったく入金されていませんので、準備に掛かる経費も全て関係者が持ち出している現状です。
(本件に関して、JAniCA会員からお預かりしている会費からの持ち出しは一切行なっておりません)


JAniCAが掲げるアニメーターの労働環境の改善は、
関係者一人一人の意識レベルの改善から進めていかなければ、実現は程遠いと思います。

自分達を取り巻く環境は、自分自身が生み出している事。

同じ業界に居て、年収1千万円を超えている人間と数百万円にも満たない人間は、何が違うのか?
その本質は、業界の環境だけではなく、自分自身の資質にある事を自覚すべきです。
技術の有無だけが、100%の原因ではないのでは?

こんな事を書くとまた、クレームが来るんだろうなあ・・・。

まあ、それはそれでいいですけどね・・・。

ちなみに、6月の総会で白紙委任状を集めて、前代表を解任した等という噂も飛び交っているようですが、
芦田さんが委任状を使って解任された事実はありません。

私はその日の理事会にも運営委員として参加しておりましたが、
辞任された前理事の方々はご自分の意志でそれが良いと判断されてお辞めになったのだと、現場に居た人間として認識しております。

もし仮に、噂のような解任動議が発動したのであれば、参加していた会員の多くがその現場を目撃しているはずです。

総会の警備に関しては、たしかに過ぎた人数になっていたと私も感じましたが、
前日までのJAniCA内部(芦田代表と神村理事)の人間関係の拗れが総会に影響する事を恐れ、
監事が最善の方法を取っていたと、後日の理事会で報告を受けました。
お二人は結果的にそのJAniCA内部のゴタゴタの責任を感じて、辞任されたわけです。

大変長文になってしまいましたが、思うところをまとめてみました。


現在私が監督を担当している『薄桜鬼』、おかげさまで好評の内に秋から第二期が始まります。
睡眠時間を削ってのJAniCAの関連作業がボランティアって言うのもどうなんだろう?
そんな思いも有りますが。
諸先輩、後輩たちのため、と思ってここはふんばりどころかと。

『人が動けば、時代が動く!』

アニメ関係者は今、自分達に風が吹いている事に気づくべきです。

今、ちゃんと動けた人間は次代に何かを残せるかもしれません。
今日、NHKのラジオ第一放送の夕方ニュースにゲストとして出演した。
夕方のニュース番組であるため時間的な制限も有り、生放送でもあったことから、個人的には反省点も多くどこまで上手く話せた悩む所だ。

NHKのディレクターから午前中におおよその質問内容を事前に送ってもらったので、アンケートのようにこちらの答えを渡す事にした。

放送では時間の都合や会話の流れ上、割愛された内容もあるがこの質問は業界外の方々の純粋な疑問なのだと思う。
せっかくなので今回はNHKの番組用の質問に私が答えた、Q&Aの内容を公開してみたい。


●今日のテーマは、『アニメの殿堂は止めたけれど・・・日本のアニメ産業の今後を考える』です。
文部科学省は、2009年度の補正予算の見直しで、117億円が計上されていた国際メディア総合芸術センターの建設中止を正式に決定しました。
建設中止どう見ますか?


ヤマサキ:
JAniCAの立場としては残念です。 私個人としては完成後のランニングコストを誰がどう責任を持つのか?そういう懸念があったのでこの結果は悪くなかったと思っています。

●日本のアニメ、漫画などは、世界中から非常に人気が高く、不況の中でも国際競争力を持つ分野として、また観光資源としても、成長が大いに期待されています。
しかし、成長産業とばかりいっていられないデータも。デジタルコンテンツ白書によれば、07年のアニメ産業規模は2396億円。
6年のピークより190億円マイナス。テレビ放映やDVD販売減少。現在の状況は?


ヤマサキ:
それでも世界中でこんなに多様で大量のアニメ作品を作り続けている国は日本しか有りません。
作品的な数の減少は世界的な経済不況の影響もありますし、なによりインターネットの普及やデジタルメディアの発達による販売メディアの変化に商品形態が追いついていないことが原因だと思います。


●日本のアニメ業界では、もともと海外マーケットを意識していなかったし、してこなかった、という京都精華大学の津堅教授のご指摘、ヤマサキさんどう思いますか?


ヤマサキ:
その問題はアニメだけでなく日本の特殊性が原因だと思います。
携帯電話やパソコンの黎明期にも起こりましたが、この狭い島国に1億人のマーケットが存在してGDP(国民総生産)が世界のトップレベルにあることで、ガラパゴス現象と呼ばれる国内市場完結型の産業構造が出来やすい。
その事が世界に類を見ない独自進化した漫画やアニメの文化を生み出したのも事実だと思います。
それが今、少子化の影響も有り、産業経済的には行き詰まりを迎えている。
子供向けの番組はどれだけ多くの子供達が見ていても絶対数が少ないと視聴率が稼げない。
結果的に対象ユーザーの年齢を上げた作品しか作られなくなり、作品の多様性が失われていると感じています。


◇海外マーケットへの進出のため、国がとってきた政策はこれまで功を奏してきた?今後何が必要?


ヤマサキ:
今までの国の政策がどのようなものがあるのか詳しくわかりませんが、日本の最も優れた資源は平均的にレベルの高い人材資源だと思います。
今回政府が掲げた子供の育児支援や学校教育の無料化は、結果的に我々の産業にもプラスの効果として現れると思います。
本来、子供向けの番組の方が海外では売りやすい。
日本は少子高齢化と言われていますが、世界的にはまだまだ人口は増え続けていて、アニメ番組の需要は後進国の経済成長とともに膨らんでいると思います。


●商品を売る、という支援だけでなく、‘作る’支援も求められている。民主党政権では、ハコモノ支援ではなく、人材育成に力を入れるとしている。しかしそもそも作る環境である製作環境が、待遇面も含めあまりにも劣悪な状況だということがヤマサキさんが所属する日本アニメーター・演出協会の調査で明らかに。


ヤマサキ:
そうですね。
アニメーターの新人は年収で100万円程度しか稼げていません。
それが実態です。


○なぜこうした状況が?


ヤマサキ:
アニメ制作はその実現場である制作会社のほとんどが下請け企業で、制作リスクを回避するためにアニメーターを新人の時からフリーランスとしてしか雇用しないからですね。
まだ一人前になる前から出来高で仕事をさせられる。
結果的に収入が低く生活出来ない。
そのために離職率が極端に高くなる。
さらに彼らは立場的に弱いために賃金交渉が出来ない。
特にデジタル化が進んだここ10年あまりで優れた若手スタッフが出てくる率が極端に減っているのは、そのような理由による所が大きいと思います。
月に4〜5日くらいの休日で1日10時間以上働いていて手取りが月に10万円以下。
これは厚生労働省が正式に業界に対して行政指導を行なうべきレベルの問題だと思います。


●待遇改善、誇りを持った仕事にしていくため、何が必要か?国ができることは?


ヤマサキ:
国にやっていただきたい最も直近の問題は、新人アニメーターの生活改善のための業界への指導と支援です。
ただし、本来は業界全体の問題として、育てた新人の引き抜きの規制や製作予算配分の見直しなど、動画協会に加盟している各制作会社や我々現場の関係者が、自分達の問題として次世代を育てる取り組みを行なうべきだと考えます。


○日本のすばらしいアニメの力、どう今後つないでいくか、技術、知恵、製作体制など、制作者サイドからの提言あれば。


ヤマサキ:
アニメの制作技術は映画同様100年以上かけて我々の先輩達が築き上げてきた知識や技術の蓄積があります。
そのノウハウを伝えるためには今現役でやっている我々の世代でも後10年くらいしか現場では教えられない。
最低限の生活の保障を行なった後は知識と技術の伝承とそれを使った作品の制作発表の場が必要です。
今40代〜50代前半の多くの監督はビデオデッキの普及期にOVAブームの中で自分達の作品を発表するチャンスがあった。
宮崎さんや高畑さんたち60代〜70代の先輩達は映画やTVの黎明期にチャンスを得ています。
今の若い世代は携帯電話やネット配信用のコンテンツ制作に目を向けるべきです。
それらが商品として価値の有る物になるような経済的な仕組みづくり。
そして、そこに投資をしてみようと考える企業への支援。
そういうものが今一番求められている事だと思います。