■アニメーション・クリエイティブ・テクノロジー・フォーラム(ACTF)

「アニメーション・クリエイティブ・テクノロジー・フォーラム(ACTF)」アフターレポート

 2015年2月14日(土)に日本工学院専門学校 蒲田キャンパス 3号館で開催された 「アニメーション・クリエイティブ・テクノロジー・フォーラム」の模様です。



入場受付の様子


講演会場には約300名の来場があり、ほぼ満席でした


展示会場では、実機を触ったり、機能説明を受けたりしていました


パネルディスカッションでは話題は多岐にわたり広い視野で語られました


■講演
イントロダクション〜開催の挨拶(※登壇順)
井上俊之 氏(JAniCA代表理事)
佐藤 充 氏(日本工学院専門学校クリエイターズカレッジ カレッジ長)
佐々木竜生 氏(株式会社セルシス取締役)
司会進行:轟木保弘 氏(株式会社ワコム)

ケースメソッド1:
株式会社旭プロダクション/濱 雄紀氏、橋本 航平氏、鈴木理人氏
株式会社セルシスのStylosやCLIP STUDIO PAINT を用いて デジタル作画を導入してきた経緯とそのメリットが詳しく紹介されました。 中でも比較事例として、作画の橋本氏からの紙の作画からデジタル作画へ移行した経験談と、 最初からデジタル作画で動画を担当してきた鈴木氏の経験談をお話いただきました。

ケースメソッド2:
りょーちも氏
Adobe Flash上で日本アニメスタイルのインターフェイスを独自開発してきたりょーちも氏から、 デジタル導入時のトラブルをプログラム開発で乗り越えてきた経験談を映像プレゼンを交えて語られました。 デジタル作画の組織作り、データ管理のノウハウなど、失敗談も含めた興味深い話をしていただきました。

ケースメソッド3:
有限会社神風動画/水崎 淳平 氏、吉邉 尚希 氏
デジタルツールはその時作りたい作風に合わせて柔軟に選ぶ(場合によっては紙の作画も使う)という、 神風動画の自由闊達な制作姿勢が水崎代表から語られました。 Adobe PhotoshopやAfter Effectsを用いて独特の画風を作り出すノウハウが吉邉氏の手によって実演されました。

メーカープレゼン1:
TVPaint Developpement/Fabrice Debarge氏、佐藤直幹氏(通訳)
1991年以来の実績を持つTVPaintは、紙の作画をデジタルツールで再現する理念のもと、 絵コンテ、作画、彩色、背景制作、コンポジットも含めたアニメーション制作に必要な機能をすべて備えたフランス製の統合ソフトです。 本講演の1週間前にバージョンアップしたばかりの多彩な機能が紹介されました。日本語版も有ります。

メーカープレゼン2:
Toon Boom Animation/Francisco Del Cueto氏、Michael Weismeier氏、山口 晶 氏(通訳)
現在ディズニーなど大手スタジオを含む125ヶ国で採用されているカナダのToon Boom社は1994年以来の実績を持っています。 絵コンテ制作とプリプロダクションを支援するToon Boom StoryBoard Proと、 ペーパーレス作画やカットアウトアニメーションも制作出来るToon Boom Harmonyが、 Michael氏の実演も交えて紹介されました。日本語版もあります。

メーカープレゼン3:
株式会社セルシス/佐々木 竜生 氏
マンガ・イラスト制作の分野で世界から支持されている日本製のソフトCLIP STUDIO PAINTに、 アニメーション制作機能が加わって2015年以内にリリースされることが開発管掌取締役の佐々木氏から発表されました。 RETAS STUDIO がすでに業界のスタンダードとなっており、CLIP STUDIO PAINTが自然な描き味で信頼が高いだけに、 会場からは期待する声が聞かれました。

メーカープレゼン4:
CACANi/リュー・ホンツェ氏、渡邊 喜洋 氏(通訳)
CACANiは2011年以来、シンガポールで手描きアニメーション用ソフトの開発をはじめ、 現在オンライン販売でシェアを伸ばしています。 目玉は中割り自動生成機能で、実際にどのようにして中割りを作るのか、その操作手順が実演されました。 いわゆる「自動中割り」といっても、あくまで支援機能であり、動画業務がなくなるわけではないとの説明もありました。

パネルディスカッション『ペーパーレス作画の現状と未来予測』:
パネラー/濱 雄紀 氏(旭プロダクション)、森田 宏幸 氏(JAniCA)、吉川 綱樹 氏(WHITE FOX)、吉邉 尚希 氏(神風動画)、 りょーちも 氏(ちものとアニメーション) (50音順)
モデレーター/轟木保弘(ワコム)
作画のデジタル化に関して、現在先駆的な立場を担っておられる方々にご登壇いただき、現状の把握と今後の課題、未来の展望について語っていただきました。 デジタル導入のコストの問題から、紙の作画との併用、ファイルフォーマットの標準化、4K、8Kの高画質対応、 3DCGと2Dの融合による表現可能性、自動中割り、ワコム製品への要望など、話題は多岐にわたり、広い視野で語られました。 教育界の対応についてのメッセージもありました。質疑応答では、厳しいスケジュールや枚数制限の中で作画のデジタル化に挑戦しても、 本当にメリットを享受出来るのかという切実な声も上がり、会場とパネラーの間で議論が起こり、 問題意識が一気に深められる一幕もありました。

■展示
〈企業展示〉
Toon Boom Animation
このほどリリースされた日本語版が分かりやすく紹介されていました。
TVPaint Developpement
2Dアニメーションにおける機能を実例を交えて紹介していました。
株式会社セルシス
CLIP STUDIO PAINTの最新版を展示・説明いただきました。
CACANi
作画支援となる自動中割りや自動ペイント機能を中心にツールが紹介されました。
株式会社ワコム
各ソフトウェアの実演に際してはワコム製の液晶タブレットを多数使用し、 ソフトウェアと組み合わせた描き味を試すことができました。

〈オリジナルツール〉
ねこまたや
用紙の作画の画像データ化と画像データの必要十分な精度での紙への出力の方法が紹介されました。
・しーば
スマートフォンで動作する24コマ ストップウォッチアプリケーション「WariKen」が紹介されました。
・アニメミライ+
アニメミライ作品「わすれなぐも」の線撮・仕上げデータを用いた、初学者のために開発中の iOSアプリが紹介されました。

〈団体展示〉
CG-ARTS協会
来年度発行する予定の冊子の参考展示と、優れた人材を育成し社会につなげる教育振興事業と文化振興活動が紹介されました。
一般社団法人 日本動画協会
「アニメーションのデジタル制作についてのアンケート」の報告レポート(リンクはpdf形式)を展示いただきました。
・一般社団法人 漫画財団
アニメや音楽、イベント等との制作技術面においてのデジタル化による『垣根を越えたプラットフホーム』への共有模索が紹介されました。

■ワークショップ
ToomBoom社のワークショップ(約1時間)が、12 名の参加で実施されました。
上記以外の時間帯は、展示見学者らのために講演会場内の様子が中継上映されていました。

■交流会
アルコール飲料なしの立食形式にも関わらず、登壇者も含め約200名にご参加いただきました。

■開催結果のまとめ
・事前申込数:415名 / 来場受付数:316名 (招待、プレス含む)
・95社(フリーランスを除く)/276名のアニメ制作事業者にご来場いただきました。
・代表取締役(19 名)をはじめ、部門長など経営層の参加が多く見られました。
・関東近郊だけけでなく、遠くは福岡、大阪・京都からも多くの方にご来場いただきました。
・登壇社、出展社についても、告知開始時以降に各社において拡充が図られ、 フランス・カナダ・シンガポールのそれぞれの本国の担当者にご登壇いただけました。
・アニメーション制作における競合社が一同に介することによって普段個別では接触しづらいアニメ制作者が多く来場する動機となり、 それがある種の同窓会のような状況になり、会場内のあちらこちらで情報交換がされていました。
・開催告知後のお願いにも関わらず、多くの団体から後援・協力をいただきました。ご協力ありがとうございました。

※参加したみなさんの感想(抜粋)

・監督・演出(30代):プリプロ(絵コンテ)、デジタル作画、コンポジット(撮影)を分けたフローでソフトを作ってほしいです。あと制作管理ツールとかも…。ペンタブレットは細くて固いラバークリップでない軽いペンがほしいです。
・監督・演出(30代):頑張れセルシス!!!
・監督・演出(50代):ケースメソッドのクオリティにばらつきを感じた。準備をしっかりしてきて頂きたい。
・原画(20代):メーカーのプレゼンは全体的にわかりづらいと思いました。もう少し簡潔にまとめていただけると有り難かったです。興味深い情報が沢山あって、来て良かったと思いました。
・原画(20代):TVPaint、ToonBoomで海外の原画を見ることができたのが良かったです。個人的にSong of the seaを製作しているカトゥーンサロンスタジオが大好きなので、海外の話題に特化したイベントなどもあるととても嬉しいです。
・原画(20代):こういった機会をもっと増やして欲しいです。
・原画(20代):3DCG業界のクリエイターカンファレンスと比べると全体的にレベルが低い。メーカープレゼンに期待していたが、CACANi以外、何が強みなのか伝わってこなかった。既存のフォトショップ・アフターエフェクトで出来る機能の説明はあまり重要でない。
・原画(20代):セルシスさん頑張って下さい。アニメーション機能の第一弾がリリースされたら購入予定です。CACANiのイメージも変わったので良かったです。
・原画(20代):今のアニメ業界はムダがありすぎなので、それを無くすためにもペーパーレスは進めてほしい。
・原画(30代):定期的にぜひ開催してほしいです!!!プレゼン中にソフトの価格がわかるとなおよかったです。
・原画(30代):セルシスさんには、CLIP STADIO PAINTの描きやすさはそのままに、アニメーション機能はアニメーターが使いやすいような複雑でないものにしてもらいたいです。Flash的な操作感に期待します。ワコムさん、早く15インチ〜17インチの高解像度液タブ出して下さい!!
・原画(30代):各ソフトとも魅力があるのがわかりました。それを選ぶかとなると、どのソフトが主流になるかわからない不安があります。各ソフト間の互換性を高めて、選択のリスクを抑えて頂けると助かります。
・原画(30代):今回のフォーラムや講習会は東京で行われてる印象。地方に住んでいるクリエーターにはハードルが高いです。オンラインの講習会とかニコ生とかでないですか。すでにあるなら私が情弱なだけですが…。
・原画(30代):今回、国内国外のソフトや使用状況が知れて良かったです。目の前でPCを操作してるのを見たらだいぶイメージがわきました。コストもかなり下がっているなと思ったので、自分が思っているより早くデジタルに移行出来るかも?と思ったのですが、業界内ではデジタルに対するアレルギーを感じる部分も有ります。
・原画(40代):りょーちもさんの話をもっと長時間聞きたいと思いました。
・原画(60代):今日はおもしろかったです。
・動画(20代):動画、鉛筆で線ひける=コントロールできることも大切なのではと思う。→デジタルでもかわらない?デジタルとアナログで画力に関係あるか?
・動画(30代):実践的な勉強会もひらいてほしい(半年に1回くらい)。CACANIは動検的にはすごく興味深かったです。
・動画(30代):デバイスが追いついてない。液タブでは現状の紙作画にに取ってかわるのに無理がある。読み描きめくりが可能なフィルム状デバイスを開発すべき。JAniCAの金で。すべての無理を動画マンに押しつけているにすぎない。原画やコンテを作るツールは正直もう間に合っている。WACOMは既存のデバイスで既存の客に物を売るだけしかできないので、別な企業に積極的に働きかけて、競合競争をうながすべき。まーWACOMから金もらって成り立ってるんだとは思いますが。
・仕上(40代):ワコムさんへ:15インチ、17インチの液晶タブレットが欲しい。セルシスさんへ:高解像度モニターではインターフェースが小さくなりすぎるので、任意で拡大できるようにして欲しい(特にカラーパレットウインドゥ等の数値を確認する際非常に見づらいので)。カラーロケーターは引き続き実装して欲しいが、ウインドゥの最大サイズのしばりを無くして欲しい。ACTFについて:講演会場内の内容が充実していて大変良かった。良かった分、席を離れられなくて展示やワークショップに回れないといううれしい誤算でした。休憩時間もう少し欲しかったです。
・デジタル作画(30代):単刀直入に申しますと、個人的にはアニメ業界のデジタル作画導入について、叶えたい夢があります。大きく言いますと、アニメーター(アニメ業界に関係する方々)の地位向上です。いつまでも数百円の単価で出来高にヒーヒー言いながら「暮らせないけど好きだから」という部分に足元をすくわれ続けるのではなく、社会人として「仕事」として成立して欲しいですし、めざす夢としてもっと「アニメーター」という業種のハードルが金銭面で低くしたい。そのためには作画のデジタル化は強いとっかかりだと確信しています。業界で有名な方に登壇してもらうのは分かりますが、多くの無名の方に支えられている業界です。そういう方の方が直感的に業界の本質なりを見極めていたりします。〜と、パネルディスカッションを見て思いました。
・3DCG(20代):セルシスさん、アニメーション機能楽しみにしています。
・3DCG(30代):技術面の革新も面白く、やはり定期的なフォーラムの開催は必要であると感じました。続ける事で精度が上がっていくと思います。
・3DCG(40代):りょーちも氏の発言にあった「共通フォーマット」について、JAniCA、ACTFで強く提唱していってほしい。
・システムエンジニア(20代):Adobe社が参加していない(あるいは参加出来ない)理由をお願い致します。
・システムエンジニア(40代):ClipStudioのアニメーション機能を可能な限り早いリリースを期待しています。また15インチのタブレットが欲しいです。
・システムエンジニア(40代):セルシスさんには、QuickCheckerのWin7以降への対応をお願いしたいです。
・システムエンジニア(40代):ClipStudioのアニメーション対応については、もう少しくわしく聞きたかったです。CACANIはアニメ業界が開発に協力すればかなり面白いツールに成長するのではないでしょうか?
・美術(20代):「TVPaint」公式HPのチュートリアルの日本語化をお願いしたいです。あとやはり参考書も欲しいです。
・制作進行(20代):演出、作監のところで、デジタル作画を全面的に使われてなければ今後の統一とデータ管理は詳しく知りたいです。
・制作進行(20代):とても勉強になりました。ありがとうございます!!
・制作進行(20代):非常に楽しかったです!!とても有意義でした。デジタル作画に対してかなり期待感を抱くことができました。セルシスさん、2015年以内にCLIPをバージョンアップしたら、また開催して下さい。こういう会は1年に1回くらいで丁度良いかもしれないのですが、情報は定期に欲しいです。メルマガ配信とかしてもらえたら良いなーと思いました。あとこれは現場がすることなのかもしれないのですが、アニメ制作会社、3D制作会社、ソフトメーカー側の横のつながりを持てるような団体組織ってあるのでしょうか?あったら(ないならこれから作ってほしい…)制作現場の人間、各社一人ずつでも出れるような組合が欲しいです。
・制作進行(20代):ケースメソッドはもう少し作品の内容を掘り下げて(演出意図等含め)話してもらえると助かります。メーカープレゼンはadobe a flashやphotshopと比較して、それぞれの商品の強みを教えて欲しかったです。特にアニメ原画でよく聞くソフトは、flashとstylosだったので、メリット、デメリット比較をして欲しかったです。
・制作進行(20代):ワークショップやブースの時間がプレゼントとかぶってしまうとこを改善してほしい。
・制作進行(30代):普段から詳しく調べる事が難しいソフトウェアの話や動向。実際にデジタルベースでアニメ制作している方の話が聞けて楽しかった。
・制作進行(30代):クリエイティブな内容(テーマ)のプレゼンがほしかった。
・プロデューサー(30代):制作、作画、など各セクションに特化した小、中規模な会があってもよいかと思いました。制作費がこの先上がることはないと思うので、デジタル化になることにより、効率を上げて、良作を量産できるような体制をつくれればと思います。
・プロデューサー(30代):制作進行用の制作管理ソフト開発をお願いしたい。クイックチェッカーを作ってほしい。制作進行にSEの知識(システム上でのファイル管理)を学べる講座を開催してほしい。演出用のデジタル講座を開催してほしい。
・大学教授(50代):今回参加できて、大変参考になりました。できれば、今回の資料(プレゼン)や、パネルディスカッションの文字起こしをしてもらえると助かります。また1日全日の開催にして、フォーラムとワークショップの時間を分けてもらえればと思います。
・その他(40代):既存のシステムの中に、TVPaint、ToonBoomは費用も含めて、導入し辛い、作画に特化した部分を分化してほしい。セルシスさん、ワコムさんの日本アニメに則した発展に期待します。
・プレス(30代):大変充実したフォーラムで驚きでした。色々な方の話がきけて勉強になりました。パネルディスカッションは、皆さん遠慮している感じで、参加メンバーの豪華さに比べて、ちょっと残念でした。間を保たせるためだったと思いますが、モデレーターの方が話しすぎていた気もしました…(最後の演出の方の質問でもリ上がってよかったです)。
・書籍編集(20代):パネルディスカッションが非常に各人の率直な話を聞けておもしろい内容でした。色々な未来の可能性を感じました。

次回開催の要望につきましては、半年:30名、毎年:58名、その他:10名、未記入:9名のご要望をいただきました。