■下請法

「下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準」の改正に関する意見

東京都千代田区外神田4−4−9 松井ビル4階
一般社団法人日本アニメーター・演出協会

担当者:監事・弁護士 桶田大介
TEL:03-6262-9770 / FAX:03-6262-9780
電子メールアドレス:postmaster@janica.jp

 下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」といいます。)に関する運用基準(平成15年公正取引委員会事務総長通達第18号、以下「本運用基準」といいます。)の改正について、以下のとおり、当団体の意見を申し述べます。


1 「第2 法の対象となる取引」について
 情報成果物作成委託類型3−2の例示について、アニメーションの制作に関する委託の追加を要望します。
 平成28年7月に改定された経済産業省「アニメーション制作業界における下請適正取引等の推進のためのガイドライン」(以下「本アニメ下請ガイドライン」といいます。)第13頁以下にも記載のあるとおり、アニメーション制作業務に関しては、「最終成果物であるアニメーション及びアニメーションを構成することになる、絵コンテ、原画、動画、背景美術等、BGM等の音響データ、脚本、キャラクターデザイン、オリジナルテーマ曲の楽譜動画等が「情報成果物」に該当」し、「グロスでアニメーション制作を委託する場合」及び「アニメーション作品を構成することとなる情報成果物の制作を委託する場合」は「情報成果物作成委託」に該当し、その他下請法の定める要件を満たした場合には、下請法の適用対象となる取引に当たることは明白です。
 しかるに、本運用基準において「法の対象となる取引」の情報成果物作成委託類型には、アニメーション制作業務に関する記載がありません。アニメーション制作業界は、本アニメ下請ガイドラインにも記載されているとおり、下請法の運用が十全に行われているとは言い難い現状です。かかる現状の改善に取り組むためには、アニメーション制作業務に関わる関係者が、アニメーション制作業務にも下請法の適用があることを明確に認識するところから始める必要があります。
 係る認識を醸成するためにも、本運用基準の改正に際し、アニメーションの制作に関する委託を本運用基準における法の対象となる取引の例示に明示いただきますよう、要望します。

2 「第4 親事業者の禁止行為」について
 下請法との関連で、アニメーション制作業界においては受領拒否その他、本運用基準第4「親事業者の禁止行為」に記載の各要目に該当する種々の問題が存在しています。これら問題については、当団体も策定に参加させていただいた本アニメ下請ガイドライン第23頁以下において、整理の上、詳細な記載をいただいております。
 当団体は、アニメーション制作業界における下請法違反の常況を改善するためにも、本運用基準の改正に際し、以下に記載の各要目に関し、下請法に関するアニメーション制作に関わる違反行為事例を追加いただくよう、要望します。

(1)受領拒否に関する違反行為事例の追加
(2)支払遅延に関する違反行為事例の追加
(3)下請代金の減額に関する違反行為事例の追加
(4)返品に関する違反行為事例の追加
(5)買いたたきに関する違反行為事例の追加
(6)不当な経済上の利益の提供要請に関する違反行為事例の追加
(7)不当な給付内容の変更及び不当なやり直しに関する違反行為事例の追加

3 結語
 当団体は、日本の商業アニメーション制作に従事するアニメーターや演出をはじめとした個人らにより構成される業界団体として、2007年の発足以来、日本における持続的なアニメーション制作の発展を実現するため、健康保険や技能教育等、種々の取り組みを重ねて参りました。
 アニメーターの貧困その他、長らく指摘され続けてきたアニメーション制作に関わる劣悪な制作環境は、当団体も2008年と2014年の二度にわたって実態調査を行うなど、実態把握から改善に努めております。なお、これらの調査結果につきましては2009年と2015年にそれぞれ公表しており、後者については「アニメーション制作者実態調査報告書2015」としてPDFを無償公開しております。
 アニメーション制作の劣悪な制作環境に関して、現時点における当団体の見解は、この問題はアニメーション制作業務の専ら複雑多岐に渡る多層的な下請、分業構造に起因するものであり、その改善には種々の取り組みを中長期に渡って行う必要があるというものです。
 下請法は、その中でもアニメーション制作業務に関わる取引の適正化実現のため、適正な運用が行われることが極めて重要であると認識しております。
 当団体と致しましても、2015年以降、中小企業庁消費税転嫁対策室や経済産業省文化関連情報産業課にご指導をいただき、取組を進めているところではありますが、本運用基準の改正に際し、改めて貴委員会におかれましてもアニメーション制作業界における下請法の適正な運用その他、アニメーション制作に関わる公正な取引の実現に向け、お力添えいただきますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

以上